【読書】山崎ナオコーラ「ブスの自信の持ち方」

 

タイトルとか表紙がなんとなく軽快な雰囲気だけれど、すごく深い思索と考察がなされている、哲学書っぽい本。

著者も書いてるように、自信の持ち方の指南本ではなく、ルッキズムとかジェンダー、障害、多様性について深く考えさせられる本でした。

 

一つ一つ真摯に深掘りされてる様子が、他のそういうテーマの本ではあまり読んだことがない感じの部分が多く、読んでよかった。

 

 

 

 

 

ブスと美人、男性と女性、バイナリーとノンバイナリー、障害者と健常者、その他国籍や宗教含めてカテゴリー化することの違和感や、そこをはっきりさせるさせないことの許容度、そしてある分野でははっきりさせて扱われ方も区別されたいけど、ある分野では分けたくない、みたいなこと、自分の中でもいろいろだな、と気づかされた。

 

山崎ナオコーラさんは、自身をノンバイナリージェンダーと自覚しているし、性別にこだわりたくないし、女性と男性はできるだけ分けないでほしい。

 

でも見た目については、自分は「ブス」だけど文章で評価されたいし、見た目に言及されたくないし、見た目で注目されたくないし(死後に焼いた骨すら見られたくない)、本の出版においても美人の作家さんの売り出し方とは違うし、ブスと美人は分けてほしい。

 

 

自分はどうだろう?とこの機会に考えてみる。

私は性別や性的指向については、自分は女性であり異性愛者であるという自覚がある程度はっきりしている方だけれど、そこがよりゆるやかな自覚の人もいるし、社会全体としてはそれをはっきり区別する傾向は薄まればいいと思っている。

 

見た目については、自分がいわゆる多くの人が思う「美人」にカテゴライズされないのはわかっているけれど、でも親密な人たちには見た目の良い部分は(必ずしも世間的な基準でなくても、個々人の魅力的な点として)、ほめてもらえると嬉しいし愛も感じる。

でも他の人を美人とか不美人でカテゴライズはしたくないと思ってる。

 

加えて、「女性らしさ」や「男性らしさ」については、それを強調することが偏見を助長することを考えると、あまり区別したくないしその言葉は避けてる。でもいわゆる「女性らしい」服装とか見た目は否定しない。逆にみんな好きな格好をすればいいから、男性がフェミニンな服着たり化粧するのももっと自由に広まればいいと思う。

また女性の多くは月経があり、妊娠出産に関わる身体的特徴があるから、そのニーズに合わせた対応や健康面の視点は必要。

 

それぞれトピックごとに、考え方の濃淡があるな、ということがすごくわかる。

 

それも場所や時間、年齢と共に変わるものですよね。みんながみんな、同じ考え方じゃないと理解することが大切で、でも自分の考えをまた見つめ直したくなるような、考えさせられる本でした。

 

 

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自信の持ち方の内容ではないのだけど、11章目に「自信の持ち方」について考察されてる部分はすごく納得したし、今の自分に響いたし、また折に触れては読み直したい。

 

それにしても久々のブログ、何事もなかったかのように。