カメルーン生活:お米プロジェクト体験
普段はカイゼンっ子の私ですが(詳細 ‟カメルーンでのインターン”)
一週間だけ、カメルーンでJICAが行っているお米のプロジェクト(PRODERIP:コメ振興プロジェクト)に体験入学する機会を頂き、とても興味深い体験をしました。
陸稲の衝撃
一日目は、エボロアという地域で支援している農家の視察に同行しました。
カメルーンでJICAは、我々日本人がよく知っている水稲(水田での稲作)ではなく、陸稲(土に植える稲作)での技術支援を行っています。
なので稲が土から生えている様子を初めて見て、これまでの「稲は水田に生えるもの」という常識が覆されました。
整然と並んでいてきれいだなあ、と思ったのですが、専門家の方によると、育ち方が均等じゃないとのこと。
これだと、稲穂が実る時期に差が出てしまうので(稲穂が収穫に一番適した状態であるのは約二週間しかない)、収穫が難しくなってしまうとのことでした。
また、日当で雇われて雑草を抜いている人たちがいました。
さすが、雨が多くて晴れる時は思い切って晴れる、熱帯気候のカメルーン。
雑草の育ちっぷりもなんともすばらしいのです。
でも稲にとっては栄養が吸い取られる問題になるので、抜かざるを得ません。
また、鳥がお米を狙ってくる被害が大きいので、その対策の為の人を立てたり、虫対策もしたり、肥料も適切なタイミングで撒く等と、いろいろと手間をかけておいしいお米が育つようです。
もちろん、稲を畑で管理するのはプロジェクトの一部で、種子の改良から農機具の使い方まで、JICA専門家の方々が稲作普及の為に心血を注いで行っている活動は専門的で多岐に亘ります。
ジャングル内の稲作の衝撃
次の日からは、マケネネという地域への一泊二日のミッションに同行しました。
稲作を行っている場所、10箇所以上に農業省のカウンターパートの案内で行くのですが、その場所の把握っぷりが驚きです。
なんでもない道路のなんの標識もないところで突然止まり、そのわき道からグネグネ道なき道を草をかき分けて進み、この先で本当に稲作をしているのか?と思ったところで、突然稲を育てている場所に行きつく・・・まさに人間GPSです。
普段、カメルーンのみなさんは歩くのがゆっくりだな、と思っていたのですが(というか東京やニューヨークが速すぎ?)、ジャングルの中ではとっても速い。
坂道でも身体能力の差をありありと見せつけられ、必死についていきます。
そうこうしている間に、お米の畑(つまり田んぼなのですが、なんとなく「畑」という言葉の方が合いそう)が、時にジャングルの中に出現します。
沢山の他の植物や野菜の中に稲が生えてる、みたいな畑もあり、これまでの稲作の概念が変わりました。
一応、雨季が二回あるとはされているものの、そこまではっきりとした季節ではないので、同じ時期でも種をまいた時期次第で多様な生育状況が一度に見られます。
そんなわけで中には綺麗に育ちもうすぐ収穫、という畑もあり、例の句が頭をよぎります。
各地域にて、このプロジェクトでトレーニングした地元の稲作普及員が日々の管理・監督をしているのですが、やはり日本人専門家が現地に来るとなると農家の皆さんは張り切り(?)、沢山の畑に案内してくれ、本当に沢山歩きました。
疲れたけれど、普段ヤウンデやドゥアラで排気ガスと大気汚染の空気の中にいるので、綺麗な空気をいっぱい吸えて良かったです。
(歩き方と服の選択の下手さにより、草で傷だらけになったのが反省)
カカオ体験
そして、この地域では、稲作の周りにカカオの木を大量に見ました。
初めて木になっているカカオを見た時はとても興奮!
うわー、こういうふうになるのかー
(しかしその後、もう風景の一部と化してしまうくらい大量のカカオに遭遇したのでした…)
農家の方の一人が、果実を割って食べさせてくださいました。
この中身の果肉をカカオ農家の方は収穫しながらしゃぶる、というのを他の方のFacebookで見てから、いつか試してみたい、と思っていた念願が叶いました。
甘酸っぱくて爽やかなヨーグルトのような味。
すごく好きな味で、しかもなんだか元気が出ます。
スプーンですくってモリモリ食べたいけれど、種の周りに薄くついているだけなのでしゃぶるのみです。
たゆまぬ研究と発展
最終日は、首都ヤウンデにある、稲作の試験と研究を行っている場所に連れて行って頂きました。
その前の数日間で、農地をたくさん見学し、たくさんのワイルドな衝撃を受けたのですが、ここでは非常に細やかな研究の一端を垣間見ました。
例えば、鳥に食べられるのを防ぐネットに囲まれた田んぼの中に、種まきの時期をずらした1m×1mくらいのゾーンを並べ、
発芽したて→葉が長く少しずつなる→花が咲く→お米ができてくる→収穫期
をそれぞれ一カ所で見られる場所があります。
これにより、各地域の農家を指導する現地の普及員がここで研修を受ける際に、
「こういう状態の時に」
- 肥料をまく
- 鳥追いをする
- 収穫する
等を目で見て学ぶことができます。
素人には全然わからないから、実物を見せてもらうと一目瞭然ですね。
その他にも、それぞれの品種による生育状態を、普段、研究所で雇っている人が葉の長さ等を図ってデータを取っています。
そのデータにつき、JICAの専門家がデータが飛びぬけて変なところがないか、ちゃんと測れているかを抜き打ちテスト(?)し、データの信頼性を確保しています。
こうした日々の努力が、お米の質を向上させ、生産量を増やし、稲作普及の為の人材を多数育成し、お米生産農家を支えているということがよくわかりました。
カメルーンではお米の消費量は高いのに(たいていのカメルーン食で、お米を付け合わせに選べます)、大半がアジアからの輸入だそうです。
質の良いお米を自給できる力をつけ、さらなる食の安全保障の向上と、より豊かな食卓を達成するために、プロジェクトと農家の努力は続きます。
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一週間だけで何も役に立たないのに、快く体験入学を受け入れてくださりいろいろ教えてくださったPRODERIPのプロジェクトの皆様に、この場を借りて改めてお礼申し上げます。