【読書】ハンス・ロスリング 「ファクトフルネス」

 

基本的には世界のデータをきちんと見れば、大抵の指標で大幅に改善がみられているのに、それでも知識層含む多くの人が、世界は悪くなっていると思ってしまっている。

その背景には、メディアの報じ方や、あまり可能性の低いことに必要以上に恐怖を持ってしまう人間の性質等もあって、「分断本能」「ネガティブ本能」「恐怖本能」等それぞれ説明しながら、データを使ってその状況に一石を投じている本です。

 

 

FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

  • 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2019/01/01
  • メディア: Kindle版
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国際関係・援助関係に関わっている人、関わりたい人は特に一度ざっとでも読んでおくと良さそうです。 

 

 

だから、なんだかどうしても昨今のテロとか銃乱射とか、未だに続くアフリカの貧困とか見ると、「世界は全然良くなってない」って思っちゃうけれど、実はデータで見れば、

赤ちゃんの死亡率も、

自然災害で亡くなる人の数も、

極度の貧困にいる人の割合も、

航空機事故の確率も、

数十年前よりずっと下がっていて、

言ってしまえば「悪いことや悲しいことはまだまだ起こり続けるけれど、世界が悪い方向に行ってると決めつけるのは間違い」という本。

 

私も援助業界で働いているから、どうしても途上国の悪い指標にばかり目が行ってしまうし、同時にやっぱりそれをしないと現実的に活動資金が集められなくて、資金が集まらないとまだまだたくさんの人の命が失われていくから、やっぱり大変な状況は伝えていかなくてはいけない。でも、

世界には解決しなくてはならない問題がある」という事実と、

世界はよくなってない」という感情(思い込み)

混同してはいけないのだ、と自分を戒めました。

 

 

内容については話題になってるからたくさんの人が書かれていると思うので割愛しますが、個人的な感想として、

  • 世界は全体的な傾向としては良くなってきている。
  • 同時に全体的に良くなっていても、個別の問題や悲劇は起こるし、それは避けられない。
  • さらに今後の10年20年であらゆること(人口分布、世界人口内訳、経済分布、テクノロジー等いろいろ)がどんどん変わっていく。

だから、確固たる自分の基盤をしっかり持って、自分が幸せと自信を感じられる生活をしたいな、と思いました。

それには、「変化に強く」というのがキーワードになりそう。

 

 

一方、昨今の日本の状況を見ていると、世界は良い方向に向かっていても、日本はどうだろうか、どっちかっというと悪い方に向かってるんじゃないか、って気がしてしまったりします(何をもってしてかという課題は常にあるものの、無理やり一言で言うのなら)。

平均年収は下がっていて、貧困家庭が増えていて、シングルマザーは苦しく、ワーキングプアが多数いて、ジェンダー平等は多くの国に遅れを取っていて、超高齢化社会で、世界の中での立ち位置でもぱっとせず…

少なくとも経済、格差、テクノロジーに関する世界での立ち位置は、数十年前の方が「よかった」と言えるのではないか。

ここにも私の「ネガティブ本能」をはじめいろいろな心配が作用しているからかもしれないけれど、それにしたって心配なことが多すぎます。

つい最近「貧困女子。」という本を読んで特にこのファクトフルネスとの対比が際立ったので、それはまた別途ブログ書こうと思います。

 

東京貧困女子。―彼女たちはなぜ躓いたのか

東京貧困女子。―彼女たちはなぜ躓いたのか

 

 

おわり